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映画のテーマを考察-映画『ナイブズ・アウト』で暴かれる◯◯なアメリカ【注意】

「ナイブズ・アウトで伝えようとしているテーマって何なの?」

この記事では、

タイトルに隠されたテーマ

なぜ主人公は移民の娘なのか

エンディングに込められたアメリカへの皮肉

をわかりやすく解説しています。

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映画考察

タイトルの意味

今回のタイトル『ナイブス・アウト(原題:Knives Out)』は ”Knives are out”という英語の慣用表現に基づいています。

Knive are out:誰かを責めたり、傷つけようとしている状況

では一体、「誰を傷つけようとしている状況」なのでしょうか。

また、何を示しているのでしょうか?

結論:テーマは、◯◯な現代アメリカ

結論から言うと、タイトルが示しているのは、

人種差別や階級差別に固く縛られている現代のアメリカ社会です。

つまりこの映画は、現代のアメリカが、「誰かを傷つけ合っている状況」であることを皮肉を込めて伝えているのです。

また、映画の舞台となったスロンビー家が、現代アメリカの縮図として描かれてます。

この映画が公開された2019年はトランプ大統領が、移民がアメリカ人の仕事を奪っているとして、移民受け入れの抑制や半不法移民政策を徹底して行っていた年でもあります。

アメリカの支配層であるWASPや白人にとって、有利な社会をつくろうとしていました。

ナイブズ・アウトにおける「誰か」=アメリカ社会で不利な立場に立たされた人たちと考察できます。

なぜ主人公は移民の娘なのか

この映画が現代アメリカの縮図として「誰かを傷つけている状況」を伝えていると、判断できる理由に

『主人公とスロンビー家の関係性(移民の娘とWASPの関係)』

があげられます。

主人公のマルタは、移民の娘という事実があります。

一方、スロンビー家は、アメリカ的な古い価値観と白人の絆で結ばれた家族です。

この映画では『不思議の国のアリス』のように、主人公のマルタが、迷い込んだような立ち位置で描かれています。

迷い込んだ世界は、反移民の立場をとった「WASP」の価値観を固く重んじている世界です。

主人公が移民の娘という設定の理由は、現代のアメリカを効果的に表現するためと考えられませんか?

エンディングに込められた皮肉

そのような現代アメリカの縮図の中で、移民の娘であるマルタはエンディングにどうなっていたでしょうか。

痛烈な現代社会に対する皮肉が感じられるエンディングになっていると思います。

それを示してくれているのが、

『"MY HOUSE, MY RULES,MYCOFFEE!!"』

とデザインされたマグカップとエンディングに流れる曲です。

マグカップは映画冒頭にも登場し、それはミステリー作家のハーラン・スロンビーの愛用マグカップでした。

そしてこれが最終的にマルタの手に渡っていることからも、ハーランの全ての遺産がマルタの手に渡ったことがわかります。

そして最も、痛烈なエンディングを感じさせるためのヒントとなっていたのがエンディング曲です!

流れている曲はロックバンド 「ザ・ローリング・ストーンズ」の “Sweet Virginia”という曲です。

曲の歌詞の解釈はさまざまですが、歌詞の冒頭このように書かれています。

Wadin’ through the waste stormy winter, And there’s not a friend to help you through:

(ひどい嵐の冬を歩く。しかし、あなたを助けてくれる友達はいない

THE ROLLING STORNES, Sweet Virginia

これは、マルタの立場に投影することはできませんか⁉

映画のエンディング、この曲が流れ始めると、マルタはスロンビー家と離れ離れになって、一人孤独になってしまいます。

助けてくれる人はいない状況です。

これは含蓄に富むエンディングです。

誰かを傷つけあっている現代アメリカ社会、特に移民問題においての痛烈な皮肉になっていると考察します。

寛容性のない現代のアメリカを描いていると感じました。

引用元:amazon.co.jp

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参考書籍

最後にこの記事を書くために参考にした書籍を紹介します。

 

『アメリカの社会変革』 (ホーン川嶋瑤子, 2018, ちくま新書)

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