この記事を読めば、
この映画で描いたテーマ
哲学者ニーチェの思想と映画の関係
この映画のすごいところ
がわかります。
「Groundhog Day(グラウンドホッグ・デー)」が繰り返される世界の中で、
主人公は何を学んだのでしょうか。
原題のGroundhog Dayとは?
『恋のデジャ・ヴ』の原題は、『Groundhog Day』です。
グラウンドホッグ・デーとは、物語の舞台となるペンシルヴェルニア州の町の各地で行われるアメリカの伝統行事です。
冬眠から覚めた、グラウンドホッグ(ウッドチャック)の反応を見て、春の到来時期を祝うものです。
【テーマ】ニーチェの永劫回帰
めちゃくちゃ笑えるコメディ映画の中に、哲学の思想が応用されています。
ドイツ人哲学者ニーチェの「永劫回帰」という難しい思想です。
永劫回帰(えいごうかいき)とは
経験が一回限り繰り返されるという世界観ではなく、超人的な意思によってある瞬間とまったく同じ瞬間を次々に、永劫的に繰り返すことを確立するという思想
エイゴウカイキ?
超人の思想で、人生が無限に意味もなく繰り返されることが最高の肯定の形式としています。
人生は、ただ繰り返されるだけです。
死んでも、また同じ人生。
ぐるぐる同じ人生が繰り返されるだけだといっています。
ただ繰り返される人生の中では、辛いことも嫌なこともずっと繰り返されます。
逆に、幸せのことも繰り返されます。
苦痛:幸福 = 9:1
無限に繰り返される「永劫回帰」の思想によると、9割が苦痛で1割が幸福でも、結局無限なのでどっちも同じで大差はない!
としています。
なら、頑張ろうよ。乗り越えようよ。
という人生を肯定した思想がニーチェの永劫回帰です。
この映画の主人公フィルは超人ではありません。
しかし、そのタイムループする世界で何を学ぶのかに焦点が当てられています。
つまり、
主人公「フィル」がその『永劫回帰』の状況から何を学ぶのかを描いている
作品なのです。
この映画のすごいところ
主人公フィルの心情の変化が、リアルでかつコミカルに描かれているのがポイントです。
1日経てばすべてがリセットすることを知った主人公フィルは、女性を口説いたり、銀行強盗をしたりと様々な行動をとっていきます。
無限ループの状況に追い込まれ、自己中心的でみんなから嫌われている主人公が、どのようなプロセスを経て変わっていくのかという心理表象の表現がこの映画で評価されているポイントでもあります。
ニーチェの「永劫回帰」のなかで主人公がどのように変化していくのか。
何を学んでいるのか。
それこそが、映画のテーマになっています。